東野圭吾『放課後』(講談社文庫) [読書感想]
東野圭吾『放課後』(講談社文庫)
東野圭吾のデビュー作。デビュー作にはその作家のすべてが入ってると言われていますがキャラクター作りの部分でこの作品、確かそうかもと思いました。地に足がついてない感じとか、意外なところから動機を持ってくるとか。すごく面白いというわけでもないですが本格ミステリとしてよく書けてると思います。
校内の更衣室で生徒指導の教師が青酸中毒で死んでいた。先生を2人だけの旅行に誘う問題児、頭脳明晰の美少女・剣道部の主将、先生をナンパするアーチェリー部の主将――犯人候補は続々登場する。そして、運動会の仮装行列で第2の殺人が……。乱歩賞受賞の青春推理。(講談社:http://shop.kodansha.jp/bc2_bc/search_view.jsp?b=184251X)
東野圭吾のデビュー作。デビュー作にはその作家のすべてが入ってると言われていますがキャラクター作りの部分でこの作品、確かそうかもと思いました。地に足がついてない感じとか、意外なところから動機を持ってくるとか。すごく面白いというわけでもないですが本格ミステリとしてよく書けてると思います。
パトリシア・A・マキリップ『ホアズブレスの龍追い人』(創元推理文庫F) [読書感想]
パトリシア・A・マキリップ『ホアズブレスの龍追い人』(創元推理文庫F)
『オドの魔法学校』に引き続き東京創元社がパトリシア・A・マキリップを出版。最近、東京創元社さんは翻訳ものを色々頑張ってくれていますね。早川書房のほうももう少し頑張って欲しいなあ。イルスの竪琴シリーズ復刊してくれないかしら。
さて本題ですがこの本は15編の短編を収めた短編集です。さすがに15編もあると物語としてのレベルは一定ではないかなあ。まあこちらの好き嫌いもありますしね。個人的にはマキリップらしい密な構成と情景描写が美しい表題作『ホアズブレスの龍追い人』が一番読み応えありました。あと好きなのは主人公のあり方が彼女らしくて、音色が鮮やかに描写されている『音楽の問題』『よそ者』。全体的には「まあまあ」というものが多く、マキリップは長編のほうが好みだな。この本に入っているいくつかの物語はどこかで読んだような気がするのだけどSFマガジンでだったのかな?

龍が生み出す冬に封じ込められた、黄金と氷の街にやってきた龍追い人。古い血を誇る大領主のもとに派遣された、若き吟唱詩人がくだした決断。きれいなものに目がない醜いトロールが出合った、世にも美しいバラ。ドラゴンにさらわれた、女王お気に入りのハープ奏者を捜す五人の女戦士の冒険。わがままな王女に悩まされる、魔法にかけられたヒキガエルの告白……。ファンタジーの名手マキリップの、不思議と魔法が交錯する贅沢な短編集。
『オドの魔法学校』に引き続き東京創元社がパトリシア・A・マキリップを出版。最近、東京創元社さんは翻訳ものを色々頑張ってくれていますね。早川書房のほうももう少し頑張って欲しいなあ。イルスの竪琴シリーズ復刊してくれないかしら。
さて本題ですがこの本は15編の短編を収めた短編集です。さすがに15編もあると物語としてのレベルは一定ではないかなあ。まあこちらの好き嫌いもありますしね。個人的にはマキリップらしい密な構成と情景描写が美しい表題作『ホアズブレスの龍追い人』が一番読み応えありました。あと好きなのは主人公のあり方が彼女らしくて、音色が鮮やかに描写されている『音楽の問題』『よそ者』。全体的には「まあまあ」というものが多く、マキリップは長編のほうが好みだな。この本に入っているいくつかの物語はどこかで読んだような気がするのだけどSFマガジンでだったのかな?

- 作者: パトリシア・A. マキリップ
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 2008/08
- メディア: 文庫
ジェーン・S・ヒッチコック『魔女の鉄槌』(角川文庫) [読書感想]
ジェーン・S・ヒッチコック『魔女の鉄槌』(角川文庫)
恩田陸さんオススメの角川文庫ということで平積みになっていました。翻訳者が浅羽莢子さんで内容が稀覯本を巡るミステリ。これは読まないととさっそく購入。
オカルトと宗教と歴史的陰謀なお話でした。前半はかなり面白いのですが終盤に向けて失速していくのがもったいないですね。終盤、スケール感があまりなく物語としてはありきたりな方向と少々甘いラストでちょっと浅くなった感じ。露骨にフェミニズム方向なのも読者を狭めている気もする。しかし『マレウス・マレフィカールム』(『魔女の鉄槌』)と復刊された際に書かれた序文が実際にある、というところのエグさはストレートに伝わってきて、その本質部分の怖さは伝わってきました。今でもまだ魔女狩りに近いことやってる地域もあるし、昔の話というだけに収まらないのですよね。
老外科医は稀覯本『魔法の書』とともに消された。謎に満ちた父の死の真相究明を決意したビアトリスは、十五世紀に実在した魔女裁判の実践書『魔女の鉄鎚』に遭遇する。彼女の身辺に忍び寄るさまざまな影…。女はなぜ魔女なのか、教会はなにを恐れるのか。女のエロス、都市のカルト教団、ヴァチカンの秘密図書館…。やがて、ビアトリスは身の毛もよだつような真実に近づいていく。
恩田陸さんオススメの角川文庫ということで平積みになっていました。翻訳者が浅羽莢子さんで内容が稀覯本を巡るミステリ。これは読まないととさっそく購入。
オカルトと宗教と歴史的陰謀なお話でした。前半はかなり面白いのですが終盤に向けて失速していくのがもったいないですね。終盤、スケール感があまりなく物語としてはありきたりな方向と少々甘いラストでちょっと浅くなった感じ。露骨にフェミニズム方向なのも読者を狭めている気もする。しかし『マレウス・マレフィカールム』(『魔女の鉄槌』)と復刊された際に書かれた序文が実際にある、というところのエグさはストレートに伝わってきて、その本質部分の怖さは伝わってきました。今でもまだ魔女狩りに近いことやってる地域もあるし、昔の話というだけに収まらないのですよね。
古川日出男『アラビアの夜の種族』全三巻(角川文庫) [読書感想]
古川日出男『アラビアの夜の種族』全三巻(角川文庫)
2002年、日本SF大賞&日本推理作家協会賞受賞作です。当時話題になっていたので気になってはいたのですが手を出しそびれようやく手に取りました。大枠としてファンタジィーです。なぜ推理作家協会賞なのか?と思いましたらミステリの枠組みが使われていました。とはいえいわゆる「ミステリ」ではありません。
物語は三重構造。まずは『The Arabian Nightbreeds』という本の翻訳という体裁。これは実際にある本ではなく作者の作り事。「物語ることの意味」とは何か?の問いかけとしての大枠。そしてナポレオンに侵攻されつつあるエジプトでカイロの知事イスマーイール・ベイに使えるアイユーブがナポレオンを迎え撃つために秘策を労している聖遷暦1213年の物語があり、そしてそのなかの入れ子の物語としてアイユーブの秘策として用いられる『災厄いの書』の中身が語られる。
その三重構造はただ入れ子になっているだけでなくそれぞれにLinkしていく。実は読んだものを破滅させるという『災厄いの書』は実在せず、アイユーブが密かに夜の種族ズームルッドに語らせ本に写し取ることで『災厄いの書』を実在させようとしているのである。その仕掛けの結果が「ミステリ」として評価されたのかな?と思いますが私としてはイスマーイール・ベイったら迂闊すぎですよという感じでしたが(笑)
ズームルッドが語る物語は「砂の年代記」。『「もっとも忌まわしい妖術師アーダムと蛇のジンニーアの契約の物語」、或いは「美しい二人の拾い子ファラーとサフィアーンの物語」、「呪われたゾハルの地下宝物殿」』という長い長いタイトルの物語は『アラビアンナイト』的な魔法がちりばめられた絢爛豪華な幻想の物語。設定がいかにもな感じですが主人公たるアーダム、ファラー、サフィアーンのある意味純粋な愛を求める物語は色鮮やかなビジュアル的な面白さもあり楽しいです。ただせっかくの美文超の語り口が会話文体のとこだけ妙に砕けるのが難点。ここで現実に戻されちゃって物語に耽溺できません。わざと砕けさせたんでしょうけど、どういう効果を狙ったのやらよくわからなかったです。個人的にこの物語でのお気に入りは酷い目にあってもある意味能天気なサフィアーン。彼の身に備わった純真さに皆が救われるというところが良いです(笑)
物語は綺麗に収斂され、そしてまた新たな物語が生まれるというラストもいい感じですね。作者のあとがきは個人的に要りませんでした。
聖遷暦1213年。偽りの平穏に満ちたエジプト。迫り来るナポレオン艦隊、侵掠の凶兆に、迎え撃つ支配階級奴隷アイユーブの秘策はただひとつ、極上の献上品。それは読む者を破滅に導き、歴史を覆す書物、『災厄の書』――。アイユーブの術計は周到に準備される。権力者を眩惑し滅ぼす奔放な空想。物語は夜、密かにカイロの片隅で譚り書き綴られる。(角川書房:http://www.kadokawa.co.jp/)
2002年、日本SF大賞&日本推理作家協会賞受賞作です。当時話題になっていたので気になってはいたのですが手を出しそびれようやく手に取りました。大枠としてファンタジィーです。なぜ推理作家協会賞なのか?と思いましたらミステリの枠組みが使われていました。とはいえいわゆる「ミステリ」ではありません。
物語は三重構造。まずは『The Arabian Nightbreeds』という本の翻訳という体裁。これは実際にある本ではなく作者の作り事。「物語ることの意味」とは何か?の問いかけとしての大枠。そしてナポレオンに侵攻されつつあるエジプトでカイロの知事イスマーイール・ベイに使えるアイユーブがナポレオンを迎え撃つために秘策を労している聖遷暦1213年の物語があり、そしてそのなかの入れ子の物語としてアイユーブの秘策として用いられる『災厄いの書』の中身が語られる。
その三重構造はただ入れ子になっているだけでなくそれぞれにLinkしていく。実は読んだものを破滅させるという『災厄いの書』は実在せず、アイユーブが密かに夜の種族ズームルッドに語らせ本に写し取ることで『災厄いの書』を実在させようとしているのである。その仕掛けの結果が「ミステリ」として評価されたのかな?と思いますが私としてはイスマーイール・ベイったら迂闊すぎですよという感じでしたが(笑)
ズームルッドが語る物語は「砂の年代記」。『「もっとも忌まわしい妖術師アーダムと蛇のジンニーアの契約の物語」、或いは「美しい二人の拾い子ファラーとサフィアーンの物語」、「呪われたゾハルの地下宝物殿」』という長い長いタイトルの物語は『アラビアンナイト』的な魔法がちりばめられた絢爛豪華な幻想の物語。設定がいかにもな感じですが主人公たるアーダム、ファラー、サフィアーンのある意味純粋な愛を求める物語は色鮮やかなビジュアル的な面白さもあり楽しいです。ただせっかくの美文超の語り口が会話文体のとこだけ妙に砕けるのが難点。ここで現実に戻されちゃって物語に耽溺できません。わざと砕けさせたんでしょうけど、どういう効果を狙ったのやらよくわからなかったです。個人的にこの物語でのお気に入りは酷い目にあってもある意味能天気なサフィアーン。彼の身に備わった純真さに皆が救われるというところが良いです(笑)
物語は綺麗に収斂され、そしてまた新たな物語が生まれるというラストもいい感じですね。作者のあとがきは個人的に要りませんでした。
ジョナサン・キャロル『薪の結婚』(創元推理文庫) [読書感想]
ジョナサン・キャロル『薪の結婚』(創元推理文庫)
ジョナサン・キャロルらしいダークファンタジィーでした。このところの作品はダークな部分はだいぶ影を潜めてきたかなという印象はありますが、相変わらず「生と死の境界線」がモチーフの物語。第一部はほとんどロマンス小説。しかしただのロマンス小説なわけがなく、徐々にキャロルらしい捻りが加わってじわじわと日常が侵食されていく様が描かれていきます。
ジョナサン・キャロルは人間のエゴはどう償えるのか?という部分に最近興味を持っているんでしょうかね。独特の捻りはあるものの、割とストレートな物語作り。眩暈のする悪夢のような初期作品の物語性を期待するとちょっと薄いです。面白かったけど、物語としての吸引力はちょっと減ってるかな。
想い出に値する出来事があるたびに木片を拾う。人生が終わりを迎えるとき、それを薪にして火を熾す――“薪の結婚”。教えてくれたのは最愛の人。彼と住むこの館ですべては起きた。死亡した恋人の来訪、いるはずのない子どもたちの笑い声、知り得なかったわたしの"罪”。罪と罰、そして贖いの物語は、あらゆる想像を凌駕する結末を迎える。(東京創元社:http://www.tsogen.co.jp/np/detail.do?goods_id=3837)
ジョナサン・キャロルらしいダークファンタジィーでした。このところの作品はダークな部分はだいぶ影を潜めてきたかなという印象はありますが、相変わらず「生と死の境界線」がモチーフの物語。第一部はほとんどロマンス小説。しかしただのロマンス小説なわけがなく、徐々にキャロルらしい捻りが加わってじわじわと日常が侵食されていく様が描かれていきます。
ジョナサン・キャロルは人間のエゴはどう償えるのか?という部分に最近興味を持っているんでしょうかね。独特の捻りはあるものの、割とストレートな物語作り。眩暈のする悪夢のような初期作品の物語性を期待するとちょっと薄いです。面白かったけど、物語としての吸引力はちょっと減ってるかな。
マイクル・コーニイ『ハローサマー、グッドバイ』(河出文庫) [読書感想]
マイクル・コーニイ『ハローサマー、グッドバイ』(河出文庫)
私がSFを読み始めた頃、巷で傑作と聞き読みたくてしょうがなかった本です。しかしながら絶版となったサンリオSF文庫から出ていて入手困難な作品でした。なので新訳で再販されるとなれば、これはもう購入せねばなるまい。
で、読みました。凄く期待して…。あうぅ、残念ながら私的にイマイチでした。まずもう主人公&恋人にまーったく魅力を感じない。なんでこんな二人が主人公…。どこが恋愛小説の最高峰…。私的にリボンちゃんのほうがよほど魅力的だ。なのにあの最後はないだろ~、ひどいっ。
ラストの仕掛けもミステリ読みとしては先読みできました。2回エピソードが繰り返されるんで、速攻重要ポイントになるんですよね。昔の小説なのでそこんとこ見事に素直な仕掛でした…。あ、やっぱそうきたかって感じ。でもどんでん返しじゃなくてダーク方向として彼の「妄想」としても読めるとこは楽しいです(笑)。SF的には綺麗なんでしょうかね?惑星の自転とか機密計画とか、そこら辺のオチのつけ方が。私ここらへんの綺麗さがわからないので、どうにも。異星生物ロリンと人(異星人)との係わりとかそこら辺をもう少し突っ込んで書いてくれてるほうが好みだな。共生関係なのはなぜ?とか。
戦争の影が次第に深まるなか、港町の少女ブラウンアイズと再会を果たす。ぼくはこの少女を一生忘れない。惑星をゆるがす時が来ようとも……少年のひと夏を描いた、SF恋愛小説の最高峰。(河出書房新社:http://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309463087)
私がSFを読み始めた頃、巷で傑作と聞き読みたくてしょうがなかった本です。しかしながら絶版となったサンリオSF文庫から出ていて入手困難な作品でした。なので新訳で再販されるとなれば、これはもう購入せねばなるまい。
で、読みました。凄く期待して…。あうぅ、残念ながら私的にイマイチでした。まずもう主人公&恋人にまーったく魅力を感じない。なんでこんな二人が主人公…。どこが恋愛小説の最高峰…。私的にリボンちゃんのほうがよほど魅力的だ。なのにあの最後はないだろ~、ひどいっ。
ラストの仕掛けもミステリ読みとしては先読みできました。2回エピソードが繰り返されるんで、速攻重要ポイントになるんですよね。昔の小説なのでそこんとこ見事に素直な仕掛でした…。あ、やっぱそうきたかって感じ。でもどんでん返しじゃなくてダーク方向として彼の「妄想」としても読めるとこは楽しいです(笑)。SF的には綺麗なんでしょうかね?惑星の自転とか機密計画とか、そこら辺のオチのつけ方が。私ここらへんの綺麗さがわからないので、どうにも。異星生物ロリンと人(異星人)との係わりとかそこら辺をもう少し突っ込んで書いてくれてるほうが好みだな。共生関係なのはなぜ?とか。
ローラ・ウィルソン『千の嘘』(創元推理文庫) [読書感想]
ローラ・ウィルソン『千の嘘』(創元推理文庫)
人間の在り様の複雑さがこれでもかって感じで描かれています。イギリスの女流作家はとんでもないですよ。加害者に対する厳しさはもちろんのこと、それを徹底糾弾したうえで、女に対する視点も超厳しいです。単純に加害者、被害者というだけの関係にしないんです。弱者はただの弱者だけではない。また元々、そういう方向の男性に惹かれる、求めるメンテリティを持っている女性も描く。どちらが強くて弱いのか。支配される側と支配する側は往々にして表裏一体。ラストの解釈、どんだけ私ったらネガティブ方向解釈なんだ、と思うが、でもたぶんローラ・ウィルソンはそこまで書いてると思う。しかも、さりげなく描いてしまう。依存と支配の逆転関係も意識してか意識下でか、その部分をうまく曖昧にしている。人間関係の複雑な面を見事に書き込んでいます。 正常と狂気の間のなんと脆いことか。
母の遺品整理中にモーリーン・シャンドという女性の日記帳を見つけたエイミー。一見平凡なその記述に違和感を覚えた彼女は、モーリーンについて調べはじめる。だが、18年前にシャンド家で起きた殺人事件のことを知り、モーリーンの母アイリスや姉のシーラとじかに接触を持った直後から、エイミーの身辺では不審な出来事が相次ぐ。シャンド家の事件はまだ終わっていないのか? 幾千もの嘘が彩る過去の悲劇の真実とは。(創元社:http://www.tsogen.co.jp/np/detail.do?goods_id=3869)
人間の在り様の複雑さがこれでもかって感じで描かれています。イギリスの女流作家はとんでもないですよ。加害者に対する厳しさはもちろんのこと、それを徹底糾弾したうえで、女に対する視点も超厳しいです。単純に加害者、被害者というだけの関係にしないんです。弱者はただの弱者だけではない。また元々、そういう方向の男性に惹かれる、求めるメンテリティを持っている女性も描く。どちらが強くて弱いのか。支配される側と支配する側は往々にして表裏一体。ラストの解釈、どんだけ私ったらネガティブ方向解釈なんだ、と思うが、でもたぶんローラ・ウィルソンはそこまで書いてると思う。しかも、さりげなく描いてしまう。依存と支配の逆転関係も意識してか意識下でか、その部分をうまく曖昧にしている。人間関係の複雑な面を見事に書き込んでいます。 正常と狂気の間のなんと脆いことか。
ルイス・フェルナンド・ヴェリッシモ『ボルヘスと不死のオランウータン』(扶桑社文庫) [読書感想]
ルイス・フェルナンド・ヴェリッシモ『ボルヘスと不死のオランウータン』(扶桑社文庫)
物語設定に惹かれて手に取りました。ちなみにボルヘスは読んだことありません。作品的にポーをある程度押さえておけばなんとかなる感じが個人的にはしましたが、ボルヘス読んでおいたほうがなお一層楽しめるんでしょうね、たぶん。
で、ミステリとしては、たぶんミステリ好きならほぼ最初のほうで流れは読めます。あまりに私が「こうくるだろう」と先読みしたまんまの流れで結末に到った時には反対に驚きました(笑)ある意味、捻りなさすぎ。もう少し隠してくれてもいいのに。ま、ボルヘスに語らせるためにミステリ構造を借りただけって感じですかね。でも読んでて、とても楽しかったです。推理談義というか文学談義というか、趣味の話をあれこれ拝聴している感じ。ページ数が175Pというのも談義がうるさすぎず、ちょうどよかった。
E・A・ポーの研究学会で密室殺人発生。ダイイング・メッセージをめぐり、史上最強の安楽椅子探偵ボルヘスが、カバラからクトゥルー神話まで論じたおす……文芸ミステリー。(扶桑社:http://www.fusosha.co.jp/book/2008/05696.php)
物語設定に惹かれて手に取りました。ちなみにボルヘスは読んだことありません。作品的にポーをある程度押さえておけばなんとかなる感じが個人的にはしましたが、ボルヘス読んでおいたほうがなお一層楽しめるんでしょうね、たぶん。
で、ミステリとしては、たぶんミステリ好きならほぼ最初のほうで流れは読めます。あまりに私が「こうくるだろう」と先読みしたまんまの流れで結末に到った時には反対に驚きました(笑)ある意味、捻りなさすぎ。もう少し隠してくれてもいいのに。ま、ボルヘスに語らせるためにミステリ構造を借りただけって感じですかね。でも読んでて、とても楽しかったです。推理談義というか文学談義というか、趣味の話をあれこれ拝聴している感じ。ページ数が175Pというのも談義がうるさすぎず、ちょうどよかった。
J・K・ローリング『ハリー・ポッターと死の秘宝』上下(静山社) [読書感想]
J・K・ローリング『ハリー・ポッターと死の秘宝』上下(静山社)
セブルス~(涙)。私にとってハリー・ポッターシリーズを読み続ける原動力、それは裏の主役セブルス・スネイプ。スネイプというキャラクターがいたから読み続けたようなもん。もう少し救われて欲しかった気もするけど想像通りのキャラに描いてくれてありがとうってローリングさんには言いたい。それとダンブルドアが聖人君主ではなく善悪ひっくるめたただ一人の愚かさもある人間だったり、印象の悪かったキャラが実は違っていたり、そういう部分を曲がりなりにも描いてくれた、という部分でこのファンタジィーを私は評価する。
ハリーに結局感情移入できないままだったり、そこを細かく描くんならもっと脇役をフォローしろよだったり、むやみに人が死にすぎだったり、戦いのシーンが相変わらずどうにもヘタだったり、スリザリンが結局のところただの敵役の組で終わったり、エピローグはあえていらなかったかなだったり、突っ込みどころは多すぎるけど、でもきちんと複線を回収して終わらせたんだから、このさい文句は言いません。
セブルス~(涙)。私にとってハリー・ポッターシリーズを読み続ける原動力、それは裏の主役セブルス・スネイプ。スネイプというキャラクターがいたから読み続けたようなもん。もう少し救われて欲しかった気もするけど想像通りのキャラに描いてくれてありがとうってローリングさんには言いたい。それとダンブルドアが聖人君主ではなく善悪ひっくるめたただ一人の愚かさもある人間だったり、印象の悪かったキャラが実は違っていたり、そういう部分を曲がりなりにも描いてくれた、という部分でこのファンタジィーを私は評価する。
ハリーに結局感情移入できないままだったり、そこを細かく描くんならもっと脇役をフォローしろよだったり、むやみに人が死にすぎだったり、戦いのシーンが相変わらずどうにもヘタだったり、スリザリンが結局のところただの敵役の組で終わったり、エピローグはあえていらなかったかなだったり、突っ込みどころは多すぎるけど、でもきちんと複線を回収して終わらせたんだから、このさい文句は言いません。
ジェフリー・フォード『シャルビューク夫人の肖像』(ランダムハウス講談社) [読書感想]
ジェフリー・フォード『シャルビューク夫人の肖像』(ランダムハウス講談社)
『白い果実』で世界幻想文学大賞受賞したジェフリー・フォードの作品。幻想を描く作家というわけではなくアメリカ探偵作家クラブ賞受賞『ガラスのなかの少女』ではしっかりとしたミステリも描いている。そういう意味では『シャルビューク夫人の肖像』は幻想とミステリの中間の作品といって良いかもしれない。色んな部分で虚実のバランスが面白い作品でした。一風変わった小説が好きな人に是非オススメです。
姿を見せずに肖像画を依頼してきたシャルビューク夫人が語る自分の半生記が魅力的です。彼女が語る物語は非現実的。どこまでが事実でどこまでが虚なのかすらわからない。父親が結晶言語学の占い師、という設定からして摩訶不思議な世界。ピアンボとともに読者は彼女の姿を想像していくことでしょう。そして幻想に縁取られ美しい姿をした一人の女の見え隠れした「実」が目の前に現れた時、物悲しさを知るかもしれません。そこにビアンボの画家としての苦悩や恋人や画家仲間の想いなどが絡み、現実の人の生き様の在り様も絡めながら物語が進んでいくところがこの物語に厚みを与えている。脇のシェンツ、サボット、サマンサが人間味溢れていて魅力的。だからこそシャルビューク夫人の不可思議な世界が浮き出てもくるのだろう。
前半の幻想譚のような雰囲気から後半は実をみせるミステリに変容していきます。ここまで「実」を見せなくても、と思ったりも若干しましたがそれでも全体的にどこか妄想じみた世界でもありました。
好況に沸く19世紀末のニューヨーク。肖像画家のピアンボに突然声をかけてきたのは、両目が白濁した盲目の男。シャルビューク夫人の使いと称し、法外な報酬を口にして、肖像画の製作を依頼してきた。ただし、屏風の向こうで夫人が語る過去の話とその声だけで、姿かたちを推測しなければならない、という奇妙な条件付きで。(ランダムハウス講談社:http://www.randomhouse-kodansha.co.jp/books/details.php?id=193)
『白い果実』で世界幻想文学大賞受賞したジェフリー・フォードの作品。幻想を描く作家というわけではなくアメリカ探偵作家クラブ賞受賞『ガラスのなかの少女』ではしっかりとしたミステリも描いている。そういう意味では『シャルビューク夫人の肖像』は幻想とミステリの中間の作品といって良いかもしれない。色んな部分で虚実のバランスが面白い作品でした。一風変わった小説が好きな人に是非オススメです。
姿を見せずに肖像画を依頼してきたシャルビューク夫人が語る自分の半生記が魅力的です。彼女が語る物語は非現実的。どこまでが事実でどこまでが虚なのかすらわからない。父親が結晶言語学の占い師、という設定からして摩訶不思議な世界。ピアンボとともに読者は彼女の姿を想像していくことでしょう。そして幻想に縁取られ美しい姿をした一人の女の見え隠れした「実」が目の前に現れた時、物悲しさを知るかもしれません。そこにビアンボの画家としての苦悩や恋人や画家仲間の想いなどが絡み、現実の人の生き様の在り様も絡めながら物語が進んでいくところがこの物語に厚みを与えている。脇のシェンツ、サボット、サマンサが人間味溢れていて魅力的。だからこそシャルビューク夫人の不可思議な世界が浮き出てもくるのだろう。
前半の幻想譚のような雰囲気から後半は実をみせるミステリに変容していきます。ここまで「実」を見せなくても、と思ったりも若干しましたがそれでも全体的にどこか妄想じみた世界でもありました。
ローラ・リップマン『永遠の三人』(ハヤカワHM文庫) [読書感想]
ローラ・リップマン『永遠の三人』(ハヤカワHM文庫)
ノンシリーズ作品の『女たちの真実』が面白かったのでまたローラ・リップマンを手に取ってみました。こちらもノンシリーズ作品です。『女たちの真実』でも女性の心理が細かく描写され、そこに説得力を持たせたリップマンですが今回の作品も少女たちの感性を見事に描いていました。
10代の若者の自信と傲慢さ、そしてその裏側にあるコンプレックス。誰しもが光と影、表と裏を抱えて生きている、その自覚がまだない大人になる寸前の少女たちの悲劇。社会に出ることへの不安と困難が少女たちを少しづつ変えていく。少女たちは純粋に生きていた時期を宝物として抱えて、それを「永遠」に守ろうとした。無自覚であることは罪。自覚的であればなお罪。
ローラ・リップマンは現在ミステリ関係の賞を12冠受賞という経歴の作家ですが、伊達に12個も取っていないですね。本当に上手いです。とりあえず他の作品も読もうと思います。
卒業式を目前にひかえた朝、グレンデール高校に銃声が響く。鍵のかかった女子トイレに警察が踏みこむと、そこには三人の女子学生が倒れていた。人気者のキャットが胸を撃たれて死亡し、ジョージーは足に銃弾を受けて負傷。発砲したのは二人とは親友の仲のペリで、彼女は自らの頭を撃って意識不明に……仲良し三人組に何が起こったのか?(早川書房:http://www.hayakawa-online.co.jp/product/books/63011.html)
ノンシリーズ作品の『女たちの真実』が面白かったのでまたローラ・リップマンを手に取ってみました。こちらもノンシリーズ作品です。『女たちの真実』でも女性の心理が細かく描写され、そこに説得力を持たせたリップマンですが今回の作品も少女たちの感性を見事に描いていました。
10代の若者の自信と傲慢さ、そしてその裏側にあるコンプレックス。誰しもが光と影、表と裏を抱えて生きている、その自覚がまだない大人になる寸前の少女たちの悲劇。社会に出ることへの不安と困難が少女たちを少しづつ変えていく。少女たちは純粋に生きていた時期を宝物として抱えて、それを「永遠」に守ろうとした。無自覚であることは罪。自覚的であればなお罪。
ローラ・リップマンは現在ミステリ関係の賞を12冠受賞という経歴の作家ですが、伊達に12個も取っていないですね。本当に上手いです。とりあえず他の作品も読もうと思います。
フレッド・ヴァルガス『論理は右手に』(創元推理文庫) [読書感想]
フレッド・ヴァルガス『論理は右手に』(創元推理文庫)
『死者を起こせ』の三聖人シリーズ第二弾です。とはいえ、今回はボロ館は出てこず、三聖人になぞらえられたマティアス、マルク、リュシアンのうち活躍するのはマルクと後半にマティアスが少しばかり。今回の主人公は元内務省調査員、ケルヴェレールです。三聖人もかなりの変わり者ですがヒキガエルのビュフォを上着のポケットに入れて会話しながら捜査するケルヴェレールも負けず劣らずかなりの変人。しかし単なる変わり者ではなく信念をもってしつこく真実を追い求める姿に人生の陰影がある。そしてその影には彼の出生の秘密が。その提示の仕方の見事なこと。複雑に絡みあう真相といまだ癒えぬ戦争という過去。皮肉とユーモアをちりばめながら「真実」の重さをさらりと描ききる。フランスミステリならではの味わいがある見事な物語でした。事件に巻き込まれる人々のそれぞれのキャラが立っていて読み応えあります。ケルヴェレール単独でシリーズ化してもいいくらいの密度。
パリの街路樹の根元に落ちていた犬の糞からなぜ人骨が出たのか? カエルをペットにする変わり者の元内務省調査員・ケルヴェレールが捜査を開始した。若き歴史学者マルク=通称聖マルコを助手に彼が探り当てたのは、ブルターニュの村で起きた老女の事故死だった。骨は彼女のものなのか? ケルヴェレールが、聖マルコ、聖マタイとともに老女の死の意外な真相に迫る。(東京創元社:http://www.tsogen.co.jp/np/detail.do?goods_id=3834)
『死者を起こせ』の三聖人シリーズ第二弾です。とはいえ、今回はボロ館は出てこず、三聖人になぞらえられたマティアス、マルク、リュシアンのうち活躍するのはマルクと後半にマティアスが少しばかり。今回の主人公は元内務省調査員、ケルヴェレールです。三聖人もかなりの変わり者ですがヒキガエルのビュフォを上着のポケットに入れて会話しながら捜査するケルヴェレールも負けず劣らずかなりの変人。しかし単なる変わり者ではなく信念をもってしつこく真実を追い求める姿に人生の陰影がある。そしてその影には彼の出生の秘密が。その提示の仕方の見事なこと。複雑に絡みあう真相といまだ癒えぬ戦争という過去。皮肉とユーモアをちりばめながら「真実」の重さをさらりと描ききる。フランスミステリならではの味わいがある見事な物語でした。事件に巻き込まれる人々のそれぞれのキャラが立っていて読み応えあります。ケルヴェレール単独でシリーズ化してもいいくらいの密度。
イアン・マキューアン『贖罪』上下(新潮文庫) [読書感想]
イアン・マキューアン『贖罪』上下(新潮文庫)
泣きたい…残酷だ。美しく切ない物語、だと思っていたよ。でもそれだけじゃなかった。現実と非現実、そして現実。私は非現実に浸っていたかった。罪を償うことは出来るものなのか?そんな問いかけであったのだろうか。そして物語を紡ぐことはいったいどういうことなのか、という問いかけでもあった。
19世紀以降の小説技巧を壊すのではなく見事に昇華させてしまったマキューアンに脱帽。ソローキン『ロマン』と同じくらいガツンとやられた。私は19世紀後期の小説が好きなのだというのも再確認だ。で、どっぷり浸っていたらラストでいきなり冷水掛けられた気分…。
始まりは1935年、イギリス地方旧家。タリス家の末娘ブライオニーは、最愛の兄のために劇の上演を準備していた。じれったいほど優美に、精緻に描かれる時間の果てに、13歳の少女が目撃した光景とは。(新潮社:http://www.shinchosha.co.jp/book/215723/)
泣きたい…残酷だ。美しく切ない物語、だと思っていたよ。でもそれだけじゃなかった。現実と非現実、そして現実。私は非現実に浸っていたかった。罪を償うことは出来るものなのか?そんな問いかけであったのだろうか。そして物語を紡ぐことはいったいどういうことなのか、という問いかけでもあった。
19世紀以降の小説技巧を壊すのではなく見事に昇華させてしまったマキューアンに脱帽。ソローキン『ロマン』と同じくらいガツンとやられた。私は19世紀後期の小説が好きなのだというのも再確認だ。で、どっぷり浸っていたらラストでいきなり冷水掛けられた気分…。
ブライアン・マギロウェイ『国境の少女』(ハヤカワHM文庫) [読書感想]
ブライアン・マギロウェイ『国境の少女』(ハヤカワHM文庫)
主人公はアイルランド共和国のベン・デブリン警部。彼の視点から、複雑になっていく事件と自分を取り巻く状況を一人称と三人称をmixした語り口で描いていきます。少しばかりハードボイルド風味があるのですが、これは作者がイアン・ランキンが好きでランキンの語り口にリスペクトされて書いた小説だから、というところにあるようです。
アイルランドを分断する北アイルランドとアイルランド共和国(南側)の国境線上に投げ出された死体、というところに象徴されるようにアイルランドの複雑な社会状況が事件の根底ある警察小説。また単純に国境という意味でなく様々な意味での「ボーダーライン」ということも示しているのではいかと思います。現代社会の歪みがもたらす問題が提示されていきます。原題は『BORDERLANDS』。一人の少女の死が単なる単独の事件ではなくなっていくにつれ、切なくやりきれない物語になっていきます。これはぜひミステリ好きの方々には読んでもらいたい小説のひとつです。シリーズ化されているようなので是非、続編も翻訳してもらいたいです。
アイルランドの北と南の国境線上に投げ出されていた少女の死体の謎に、刑事ベンが挑む。(早川書房: http://www.hayakawa-online.co.jp/product/books/435001.html)
主人公はアイルランド共和国のベン・デブリン警部。彼の視点から、複雑になっていく事件と自分を取り巻く状況を一人称と三人称をmixした語り口で描いていきます。少しばかりハードボイルド風味があるのですが、これは作者がイアン・ランキンが好きでランキンの語り口にリスペクトされて書いた小説だから、というところにあるようです。
アイルランドを分断する北アイルランドとアイルランド共和国(南側)の国境線上に投げ出された死体、というところに象徴されるようにアイルランドの複雑な社会状況が事件の根底ある警察小説。また単純に国境という意味でなく様々な意味での「ボーダーライン」ということも示しているのではいかと思います。現代社会の歪みがもたらす問題が提示されていきます。原題は『BORDERLANDS』。一人の少女の死が単なる単独の事件ではなくなっていくにつれ、切なくやりきれない物語になっていきます。これはぜひミステリ好きの方々には読んでもらいたい小説のひとつです。シリーズ化されているようなので是非、続編も翻訳してもらいたいです。
広瀬正『エロス』(集英社文庫) [読書感想]
広瀬正『エロス』(集英社文庫)
「もし、あの時こうだったら」のいわゆるIfもの。現在と過去と有り得たかもしれない過去がバランスよく語られる。語り口がかなり上手いです。また昭和十年代の描写が微細に語られ当時の東京という街の姿が浮かび上がってくる。ディテールの細かさがうまく物語と絡みラストで昇華されていきます。うーん、上手いなあと唸ってしまいました。日本SF黎明期の作品はレベルが高いとSFセミナーでどなたかがおっしゃっていましたが、実に本当かも。
ある大女性歌手の歌手生活三十七年を記念するリサイタルの<現在>と、の時点から三十七年前の昭和八年、東北から18歳の少女がら上京してくる<過去>。その過去に、ありえたかもしれない<もう一つの過去>…。(文庫背表紙あらすじ)
「もし、あの時こうだったら」のいわゆるIfもの。現在と過去と有り得たかもしれない過去がバランスよく語られる。語り口がかなり上手いです。また昭和十年代の描写が微細に語られ当時の東京という街の姿が浮かび上がってくる。ディテールの細かさがうまく物語と絡みラストで昇華されていきます。うーん、上手いなあと唸ってしまいました。日本SF黎明期の作品はレベルが高いとSFセミナーでどなたかがおっしゃっていましたが、実に本当かも。






















