ピーター・ロビンスン『渇いた季節』(講談社文庫) [読書感想]
■ ピーター・ロビンスン『渇いた季節』(講談社文庫) <<amazon>>
アラン・バンクス警部シリーズの第十作目の作品。もうね、どうしてこういう作品が日本で売れないのか不思議。アラン・バンクス警部シリーズは最初は創元推理文庫で5冊出版され、次なかなか出ないなあと思っていたら講談社で続きを出してくれてたという作品。講談社さん、拾ってくれてありがとう、諦めずに今後も出してください。
シリーズものは出版を重ねるにつれ、マンネリ化したり、キャラクター本位になりがちなんですが、この作品に関してはそういうことがありません。残念ながらシリーズすべては訳されてはいませんが訳されているものに関してはかなりレベルの高い一級品の正統派ミステリです。また今回の『渇いた季節』は文学としても突き抜けた感があります。シリーズものをここまで充実させていくピーター・ロビンスンの手腕に驚くばかり。海外ミステリ好きは読み逃してはならじ。シリーズものですがこの1冊をいきなり読んでも十分楽しめると思います。
このシリーズの舞台になるのはイギリスの片田舎。狭い社会での人間関係を軸に人の営みや舞台情景を丁寧に描く。事件に関連する人々の描写がいつも見事だ。被害者の人となりや、関連ある人々、そして犯人に至るまで、一辺倒な描き方はしない。人物造詣のうまさが話しに深みを持たせる。今回の『渇いた季節』では現在と過去が交互に描かれ、過去は今に繋がるものとしてたちのぼってくる。
猛暑のため干上がった貯水池から半世紀前に沈められた村があらわれ、そこで見つかった白骨死体には他殺の痕跡があった。バンクス警部たちは手がかりが少ない骨から、様々な角度で犯人を探していく。また白骨死体発見のニュースを見たミステリ作家のエルムズリーは封印していた自らの過去を綴った原稿を取り出し読み始める。
エルムズリーが書いた小説(手記)では第一次大戦の戦時下の村の生活の情景が丁寧に描かれそのなかで被害者のグロリアが生き生きとし非常に魅力的だ。この手記形式の小説の登場人物たちは現在にも現れ、バンクス警部らに当時の状況を情報として与えていく。その過去と現在の絡みのバランスが上手く、「お話のなかの人物」ではない生身な人として個々のキャラクターたちがいる。またシリーズものとしてもバンクス警部の私生活がかなり変化しており(なぜそう至ったの巻が訳されてないのが悲しい)内省にはいる彼の姿に感慨を覚え、時の流れというものをうまく使っているなあと思う。息子と進路について喧嘩をしてしまいバンクス警部は自分の若かりし頃を回想しはじめるのだが、1960年代のイギリスの風俗と密接に絡ませ、また「死」にまつわるエピソードなど青春ものとしてもかなり濃い出来。ミステリとしての本筋の部分とサイドストーリーの部分両方で、「過去」「現在」を描く手腕は見事。
小説という形態をうまく使い、虚実ないまぜの物語がきれいにラスト終息していく。決して明るいラストではないがそこで余韻を持たせる。ミステリ好きだけでなく翻訳ものが好きな人にもオススメです。








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ぶっちゃけテキトーにやっても月30万越えとか余裕だし(笑)
もう仕事辞めて、これ一本で食ってくわ!!!!(* ̄ー ̄)v
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by 某ドカタ (2011-04-02 13:24)
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by 某ドカタ (2011-04-02 13:25)