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ピーター・アクロイド『チャタトン偽書』(文藝春秋) [読書感想]

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舞台はロンドン、現代美術の画廊、あるいは18世紀、天才詩人の屋根裏部屋、19世紀中葉、青年画家のアトリエ…。登場するは伝説の贋作者、剽窃の女流作家、大画家の代作者、ゴーストライター…。詩神(ミューズ)をめぐって、創造と模倣の輪舞(ロンド)がくり広げられる。真贋のせめぎあいをミステリータッチで活写した現代イギリス文学の傑作

中世の文体を模倣し自ら創作した詩を架空の「15世紀詩人トマス・ロウリ」作として発表したトマス・チャタトン。18歳で夭折した彼は捏造したという部分では贋作者でありながら、結局のところ中世文体を駆使して詩の創作をした偉大な詩人として評価され、後世の詩人たちに多大なる影響を及ぼす。この夭折したはずのチャタトンの50歳の時の肖像画を見つけてしまった売れない詩人チャールズと友人フィリップはこの肖像画の出所を探すうちにチャタトンが後世の有名詩人たちの詩すらも書いていたという文書を見つけ出す。また一方、有名作家ハリエットは自分の回想録を書く筆が進まず、チャールズにゴーストライターを依頼する。このハリエット創作にも実は秘密があり…。

どこまでが本物でどこまでが偽か。チャタトンという存在を中心に偽作、剽窃、捏造が絡み合いもつれ合い、時空すらゆがみ「死」すらも曖昧となる。「書く」ことの「描く」ことへの意味はどこへ行くのか。真贋の境目に空いた時空に飲み込まれた人々の物語。非常にユニークな登場人物たちばかり出てくるのだが、特に作家ハリエットとその友人セアラの毒を含んだ会話がユーモラスで楽しい。

チャタトン偽書

チャタトン偽書

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 文芸春秋
  • 発売日: 1990/11
  • メディア: 単行本


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廣瀬マオ

 雪樹さま、はじめまして。廣瀬マオと申します。ピーター・アクロイドの『チャタトン偽書』を検索していて、こちらにたどり着きました。
 とても簡潔に要点をついた感想を書いておいでですね! ハリエットとセアラに着目なさったところが新鮮に感じました。
 突然ぶしつけながら、トラックバックさせていただきましたので、よろしければご覧くださいませ。
 これからも楽しみに読ませていただきますね。それでは。
by 廣瀬マオ (2006-02-08 19:52) 

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ピーター・アクロイド『チャタトン偽書』(あかつき書見台 2006-02-08 19:39)

トマス・チャタトンは実在の人物で、幼いころから古文書に親しみ、中世の文体を自在に操りすばらしい詩を書いた伝説の神童です。一連の詩作は、十五世紀の作品として発表はしていても、過去の作品の剽窃ではなく、あくまでもチャタトン自身の知識と技巧によって生まれたもの..

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